R2.3 卒業シーズンを迎えて
3月は卒業式のシーズンです。幼稚園や保育所をはじめ、小学校から大学まで、それぞれの山を登りきった児童や生徒、学生らの成長ぶりや、将来の夢や希望を真摯な態度で語る子どもたちの姿を見るにつけ、目頭が熱くなってしまいます。
特に、これから社会に巣立っていく皆さんには、自分の将来設計をしっかり立てて船出をすることが必要だと思います。
私たちの若い頃と違って、今の世の中は、若者にとって生きづらいものになっています。
例えば、せっかく正社員になり、希望に満ちた人生を歩んでいても、会社の都合で一方的にリストラされたり、職場の人間関係に嫌気が差し、会社を辞めざるを得ない人が結構います。そうなると、アルバイトや契約社員、派遣社員として、少ない給料、不安定な雇用の中で働くことになってしまいます。
一方で、正社員になったとしても、朝6時に出勤し、毎日2,3時間の残業を強要され、帰宅後は、毎晩お酒を飲んで寝るだけ、といった生活を繰り返している人もいます。
今、多くの若者が格差や貧困やパワハラといった社会の不条理の中で、もがき苦しんでいるのがわが国の実状なのです。
こうした社会の荒波を乗り越えていくためにも、生涯をかけて生きる目標を早く見つけて、その実現に向かって、果敢にチャレンジしてほしいと思います。自分に明確な将来目標があれば、どんなに辛い苦しい場面に出合っても、その壁を乗り越えることができます。皆さんの将来には、数多くの選択の道が用意されています。どの道を選ぶかは、皆さん自身で判断することになります。
ここにきて、若者たちの間で「田園回帰の流れ」が顕著になってきました。殺伐とした都会の中で、孤立しがちな若者たちが、自然豊かな田舎に移り住んで、地域の人たちと生き生きと暮らし始めています。こうした「田園回帰の流れ」は、会社や組織に属さなくとも、地域において自分らしい生き方ができることに気付いた若者によってもたらされたものです。
青春時代はあっという間に過ぎてしまいますし、人生、二度は生きられません。
ぜひ、卒業式という節目に、これまでの自分を振り返るとともに、二十代において、何を身につけなければならないかを考えながら、毎日を過ごしてほしいと思います。
卒業する皆さんには、立派な人になるために、明日からまた、自分を磨き、次のステージへと力強く進んでほしいと願っています。
柴田町長 滝口 茂
R2.2 館山の移ろい
まだ、寒さが厳しい早春の時期ですが、舘山には福寿草や寒紅梅が咲き、いよいよ四季折々に美しい花園が幕明けします。
さて、舘山ですが、かつては領主の舘や軍事拠点として、戦後は食糧の生産の場として、そして昭和45年にNHK大河ドラマ「樅ノ木は残った」が放映されてからは、観光地として、多くの人々と関わりを深めてきました。
私の幼い頃の舘山は、現在と様相が大きく異なります。三ノ丸に登る道は、御舘橋からと今は無くなってしまった、東正門から折り返しの坂を登る道しかありませんでした。
また、テニスコートや三ノ丸駐車場は、谷を埋めて造られたもので、旧勤労青少年ホーム付近は石切り場でした。そこは私にとって、ガマガエルを捕まえる格好の遊び場となっていました。
山頂には、東京タワーを真似た三角すいの小さな展望台があって、そこから眼下に広がる白石川や阿武隈山地、太平洋を望むと、心が晴れ晴れしたものでした。
昭和45年以降の舘山は、観光地として脚光を浴び、年間100万人もの観光客を魅了するまでになりましたが、長続きせず、その後はひっそりとした時間が流れることになりました。
私が再び舘山と関わったのが、平成9年、大河原地方振興事務所振興室長として、柴田町さくらの会による「桜植樹千本達成記念式典」に出席した時です。その時初めて、先輩や後輩が桜によるまちづくりに汗を流していることを知り、先輩から「机の上ではまちづくりはできないよ」と戒められたことが、私の政治家としての出発点となっています。
平成14年に町長になってからは、「花のまち柴田」の魅力を国内外にアピールするために、「樅ノ木は残った展望デッキ」や「しばた千桜橋」などの観光基盤の整備を行い、さらに、桜以外にもレンギョウ、ハナモモ、紫陽花、彼岸花が咲く里山ガーデンづくりに取り組んだ結果、昨年の桜まつりには約7600人の外国人の皆さんに、春の彩りを堪能していただきました。
このように、私とって舘山は、切っても切り離せない人生舞台となっています。思い通りにならないことがあれば、あの山頂からの眺望が、私を励まし、力を与えてくれます。舘山との関わり合いは、時代とともに異なったとしても、これからも、舘山は人々の営みを見守ってくれるものと思います。
まさに、舘山は柴田町のシンボル、住民の心のよりどころなのです。
柴田町長 滝口 茂
R1.12 流域型洪水への対応
10月12日から13日にかけて通過した、台風19号の後遺症が残ったまま12月を迎えました。
今回の水害を振り返ってみますと、台風19号の特徴は、これまでに経験したことのない、1時間の雨量が30mm以上の大雨を福島県の阿武隈川沿いの広範囲に降らせたことで、タイムラグをともなって宮城県に流れ込んで来たことです。そのため、柴田町に降っていた雨が小康状態になったにもかかわらず、朝5時頃に角田市笠松で氾濫危険水位17mを48cm超える状況になってしまいました。
阿武隈川が満水状態となると、白石川や船岡五間堀排水路の水がはけず、さらに、白石川に注ぐ三名生排水路や大河原町と村田町の境を流れる荒川に注ぐ水路が越水を起こし、付近の住宅団地に床上床下の浸水被害をもたらしました。この付近で長年暮らしている方に伺いますと、大河原町フォルテ付近の冠水は、今回が初めてだったそうです。
台風19号については、早い段階からその脅威が報道されていたこともあって、町が設置した避難所には1,373人の方々が避難されました。おかげさまで人的被害は交通事故の1件のみでした。
今回の経験から学んだことは、一つに、阿武隈川の増水による白石川をはじめとする、中小河川でのバックウォーターの動きや想定外の越水に対する監視体制の強化がいかに大切かということです。
二つには、大雨に対する住民の主体性をさらに育てていく必要があると感じたことです。災害発生当初、役場は人命救助や安全な場所への住民の避難誘導、道路の陥没や崖崩れ、堤防の決壊に対応するために、多くの人手を集中しなければなりません。その分、町民一人一人の避難所までの移動手段の確保や食糧確保までは手が回らないのが実情です。
町民の皆さまには、日頃から自宅周辺の危険な箇所のチェックや三日分の食糧の備蓄、ご近所付き合いを通じて、いざという時に、助けてくれる人を決めておくといった、常に「自分の命は自分で守る」という主体的な行動力を身につけていただきたいと思います。
私としては、今回のような流域型の洪水に対しては、これまでの経験は通用しませんので、改めて、猛烈な雨に対する抜本的なハード面での改善や、地域防災力の向上、自主避難のあり方など、ソフト面からの防災対策の強化を図っていく必要があると考えています。
来る令和2年においては、一歩も二歩も改善できるよう努力してまいります。
柴田町長 滝口 茂
R1.11 人手不足の解消問題
人手不足のために、コンビニでの24時間営業が難しくなってきました。人手不足は介護現場でも、農林水産業や建設部門などでも深刻化してきています。
そこで、緊急措置として、外国人受け入れ拡大のため、出入国管理法が改正され、今年の4月1日から施行されました。その内容は、一定の技能と日本語能力のある外国人に対し、「特定技能」という新たな在留資格を与え、人手不足が深刻な14業種を対象に、外国人労働者の受け入れを可能にするようにしたものです。今後5年間で、これまで認められてこなかった単純作業に従事する外国人労働者が、34万5千人も入国することが予測されています。
確かにこの改正で、経済活動に関わる人手不足が解消されるようになるかもしれません。しかし、残念ではありますが、地域の人材不足は全く考慮されておりません。現在、自治体や地域においては、災害から住民を守る消防団員や、地域のセーフティネットの役割を担っている民生児童委員、地域のまとめ役である地区役員へのなり手がなく、困っているのが実情です。
このように、地域のコミュニティ力が低下している中で、さらに、多くの外国人が一気に入って来た場合、地域住民との共生が図れるのかどうか、少し心配になってきます。外国人が増えている自治体や地域では、文化や言葉や宗教の違いからくる揉め事や、技能実習生と雇用主とのトラブルが起きたり、外国人の子どもたちの教育や医療に対する新たな課題を抱え困惑しているのが現状です。
これまで、日本は、比較的外国人の受け入れに寛容で、言葉や文化の壁を乗り越え、地域社会の一員として温かく迎え入れてきました。
しかし、今回の改正により、その包容力を超える外国人がやって来るとなった場合、今だ、地域住民の心構えや、自治体や地域社会の受け入れ態勢が、整っていないことが気がかりです。そのため、ちょっとしたトラブルの発生で、外国人への嫌悪感が広がらなければと思っています。
今後、人付き合いや、近所付き合いが希薄化している地域コミュニティを再生しながら、さらに新たな外国人を受け入れる「共生社会」の実現を目指していくためには、地域でのお世話ができる優秀な人材の確保が最優先されなければならないと思っています。
柴田町長 滝口 茂
R1.10 ガーデンツーリズムの推進
県南は、蔵王のお釜をメインに、ダム湖、渓流、河、里山などの自然景観に恵まれ、また、お城や蔵、スキー場などの観光レジャー施設、豊かな農産物を活用した伝統的な食文化があり、古くから観光地としての名声を博してきました。しかし、近年は、旅行者のニーズの多様化や東日本大震災の影響などもあって、観光客数は伸び悩んだままとなっていました。
ところが、ここにきて、国のインバウンド政策と相まって、仙台空港の民営化によるLCCの就航や、海外への積極的なプロモーション活動の展開によって、外国人観光客が急増し、また、新たな道の駅が開設されるなど、県南に新しい風が吹いてきています。
今回、こうした追い風を利用し、新たな切り口からの観光振興策として、柴田町から「花のまち柴田」を進化させた「ガーデンツーリズム」を提唱させていただきました。
国も今年度からガーデンツーリズムを推進するため、登録制度を創設しました。その目的は、さまざまな花園や庭園が連携した中で、魅力的な体験や交流を通じ、地域の活性化や庭園文化の普及を図ろうとするものです。
第一回目に登録されたのが、「北海道ガーデン街道」や「ガーデンネックレス横浜」などの6カ所です。全て全国に名の通ったA級の観光地ばかりです。
それにドン・キホーテのようにチャレンジしたのが、県南2市9町の自治体と、ガーデンオーナーや観光関係機関で構成された「みやぎ蔵王ハーモニー花回廊推進協議会」です。
今後、県南でのガーデンツーリズムを盛んにするために、みちのく杜の湖畔公園を起点に、蔵王山麓から太平洋までの間に点在する桜並木や花畑、民間の庭園などを巡る広域周遊ルートを設定するとともに、家庭のお庭を開放するオープンガーデンとのリンクを図り、ハーモニー豊かな花回廊の構築を目指したいと思っています。
さらに、恵まれた交通網を活用し、食文化や歴史的な建造物やレクリェーション施設を結びつければ、アクティブなガーデンツーリズムになるのではないかと考えております。
みやぎ蔵王ハーモニー花回廊推進協議会が核となり、官民が連携した取り組みを推進する中で、これまでの花修景に磨きをかけ、この県南エリアを「花巡りの聖地」としてまいります。県南の皆さまのご理解もあって、まずは、広域観光の振興に向かって、一歩前に足を踏み出すことができました。
柴田町長 滝口 茂
R1.9 健全な行財政運営
9月会議は決算会議とも言われ、平成30年度に実施した各種事業の実施状況や、その成果について審議が行われます。
ここで改めて、政策が決定され、事業が実施されるまでの過程を申し上げます。
初めに、地域が抱える課題や住民からの苦情や要望などを踏まえ、それらを解決するための最適な政策や事業を立案(Plan)します。次に、国や県の支援事業を活用しながら事業を執行(Do)し、1年を経過した後に評価(Check)を受けることになります。そこで、反省すべき点や改善すべき点があれば、次の政策を立案する際に反映させていく(Action)といった、いわゆる「PDCAサイクル」に基づき事業を展開しています。
平成30年度の予算編成過程で苦慮したことは、全ての小中学校校舎へのエアコンの設置やトイレの様式化を行うかどうかでした。その際、頭をよぎったのは、住民から寄せられた数多くの苦情や要望の解決に相当な財源を用意しなければならない中で、新たに約8億円余りの財源を用意できるのだろうかという不安でした。
しかし、これは「案ずるより産むが易し」で、本来、学校施設を整備する際には、町が2/3の費用を負担しなければならないのですが、今回は、国の交付金などが活用でき、1/3だけの負担で実施できることになりました。幸運は続くもので、今年度の当初においても、東船岡小学校、西住小学校、柴田小学校、船迫中学校の大規模改修工事が国から一気に認められました。今後、小中学校全校へのエアコン設置やトイレの様式化、さらに、大規模改修工事など、子どもたちが快適な環境の中で学習ができるよう工事を急ぎたいと思っております。
このように今年度は、平成30年度からの繰越事業を含めて、約18億円余りの大型の公共事業を実施するわけですが、一方で、30年度決算においては、普通預金(財政調整基金等)に柴田町始まって以来最高額となる約17億円を、定期預金(総合体育館、新図書館、学校給食センター建設のための目的基金)に約9億5千万円を確保することができました。そうした点からすれば、おおむね健全な行財政運営ができているのではないかと思っています。
これからもPDCAサイクルのもとに、町独自の政策提案を行い、国や県の資金を積極的に活用しながら、効果が上がる事業の展開を心掛けてまいります。
柴田町長 滝口 茂
R1.8 サイクルツーリズムの推進
サイクルツーリズムが再びブームとなっています。1970年代に一度、手軽で便利な移動手段として自転車がブームとなったことがあります。
その時は、急激に増えた自転車利用者によって、駅前の駐輪場が放置自転車で溢れ、社会問題にもなりました。その対策として、駅前に自転車ステーションを設け、誰もが自由に利用できる仕組みづくりが行われました。町も試験的に取り組んでみましたが、貸し出された自転車があちらこちらに放置されるトラブルが相次ぎ、長続きしませんでした。
ここにきて再びブームに火がついたのは、健康志向の高まりや環境に負荷をかけない乗り物として、自転車が見直されるようになったからです。2016年に自転車活用推進法が制定され、本格的に自転車を活用したまちづくりを進めることになりました。地方自治体においても、この自転車ブームを地方の活性化に結びつけようと、新たな切り口からさまざまな取り組みが行われるようになっています。
一つに、公道を使ってタイムを競うロードレース大会です。蔵王町の「蔵王ヒルクライム」が有名で、蔵王エコーラインや蔵王ハイラインを舞台に行われています。
二つに、愛車と一緒にサイクルトレインで目的地まで行き、その地域のサイクリングロードを周遊するものです。昨年、「サイクルトレイン牡鹿号」が運行され、新たなサイクルツーリズムの楽しみ方となっています。
三つには、地元の人たちと交流しながら自然や名所やグルメタン探訪を楽しむサイクルイベントです。丸森町の「サイクルフェスタ丸森」が大人気です。
柴田町もサイクルツーリズムを一つの切り口として、新たな観光まちづくりに取り組むことにしました。今回、地方創生拠点整備交付金を活用し、太陽の村に「キッズバイクパーク」として、キッズバイク公認コース、キッズバイク管理棟、古くなった宿泊施設を改修しての室内遊び場「キッズ遊びの棟」の三つを整備します。子どもたちには、混み合った町場を離れて、この広々とした太陽の村で、自分の足でペダルを踏んで、スリル感や爽快感を味わってほしいと願っています。
今後、太陽の村が子どもたちにとっての自転車の中心地となるよう整備を進めるとともに、ここを拠点にサイクルツーリズムがさらに盛り上がることを期待しています。
柴田町長 滝口 茂
R1.7 国の資金の有効活用
7月には、今年度の町政運営に大きな影響を及ぼす、地方交付税が国から内示されます。なぜ、内示を気にするかと言いますと、例年、地方交付税は約24億円余りで、一般会計予算約117億円のうち、歳入の約20%を占めており、内示された額が当初予算計上額より多ければ、新たな住民サービスが追加できますし、もし予算割れするようであれば、その分、住民サービスを縮小しなければならなくなるからです。
本来ならば、地方で提供する住民サービスについては、地方が集める税金で賄えるような税制でなければならないのですが、現実はそうなっていません。国と地方との財政構造を大まかに申しますと、提供する住民サービスの割合は、国が1/3、地方が2/3であるのに対し、税収は、国が2/3、地方が1/3の割合となっていますので、常に地方は、慢性的な財源不足に陥ることになります。
このように、自前のお金で3割しか住民サービスが賄えない地方の財政状況を揶揄して「3割自治」と称されています。そのため地方自治体は、やむを得ず、国のお金をあてにして、陳情活動を展開し、我田引水が図ることになります。地元に、いかに国のお金を持ってくるか、つまり、いかに我田引水を図れるかで、政治家の力量が評価されてきたのが、これまでの政治の有り様でした。
しかし、ここにきて、これまでの政治の有り様が少し変わり始めました。その象徴となった国の政策が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。この事業は、これまでのように国が示したメニューの中から地方が選ぶのではなく、地方が独自で考えた政策を国が全面的に支援する仕組みとなっています。
町は、これまで「花のまち柴田」と「里山ビジネスの振興」をテーマに、10の事業を率先して提案したところ、全ての事業が国に認められました。県内で完勝したのは柴田町だけです。最近認められた事業が、キッズバイクパーク整備に伴う、太陽の村のリニューアル化で、今後子どもたちの自転車のメッカにしたいと考えています。
このように、町は地方交付税の配分に一喜一憂しながらも、一方で、自ら独自の政策を提案し、国の資金を有効に活用しながら、財源不足を補っているのです。
柴田町長 滝口 茂
R1.6 ジューンブライド 6月の花嫁
ジューンブライドとは、6月の花嫁のことで、欧米ではこの月に結婚すると幸せになれるという言い伝えがあります。
今、交際を続けているカップルの皆さんが、6月のプロポーズによって結婚に至ってくれればと期待をしているところです。
ところが、私の期待とは裏腹に、わが国の結婚の現状を見てみますと、平成30年の婚姻件数は約59万件で戦後最低の記録となってしまいました。なぜ、結婚する若者が少なくなっているのか、さまざまな要因があるようです。
若者から聞こえてくる声は、「良い相手に巡り合えない」とか、「恋愛より仕事が忙しい」などで、特に男性からの「現在の給料では家族を養う自信がない」との発言には、身につまされる思いをしています。結婚して新しい家庭を築くことが若者に選択されなくなっているのが、わが国の厳しい現状なのです。
若者の皆さんの結婚観に私がとやかく意見を述べる立場にはないのですが、社会全体を維持発展させていかなければならないといった使命を負っている町長からすると、将来に対し少し不安がよぎります。
今後、独身者の皆さんが年老いていった場合、周りに家族や親戚もいない状況となるわけですから、病気やけがをした際に、誰が面倒を見るのかといったことが、大きな社会問題となってきます。
そこで、国や、一部の自治体においては、若者の婚活や結婚を支援するため、お見合いマッチングや多人数で参加する婚活パーティなどの取り組みを始めたところも出てきました。しかし、お堅い役所が行うだけに、なかなか成果が上がっていない面もあるようです。
こうした現状から、町としては、地道ではありますが、若者が安心して結婚し、子供を生み育てられるよう、ワークライフバランスのとれた、ゆとりのある生活を支援する環境を整備することや、若者同士が出会う機会が多い活気のあるまちづくりを進め、婚活につなげてまいります。
6月21日には紫陽花まつりが始まります。色鮮やかな紫陽花の花園でのプロポーズによって、お二人のジューンブライドがかなうことを願っています。
柴田町長 滝口 茂
R1.5 人生、決意新たに
5月で68才の誕生日を迎えます。既に人生100年時代の後半戦に入っただけに、寄る年波には勝てず、足腰の痛みや目の衰え、しわも増えるなど、身体の老化を意識せざるを得なくなっています。しかし、気持ちはまだ青春時代のままです。
昨今、歌番組を見て、時の流れを肌で感じました。ショックだったのは、全盛期の頃、子どもから大人までその名前を知らない人はいないピンクレディーのお二人が、還暦を過ぎていたという事実でした。青春時代に国民的アイドルとなった栄光と、解散後においては重い病気や離婚を経験するといった挫折を味わったお二人。60才にして当時の歌や踊りを軽快に披露する姿を見て、あっという間に過ぎ去った日を懐かしんだり、時の速さを恨めしく思ったりしたところです。
私の人生を振り返ると、その時々の年代ごとに失敗や悩みや苦しみ、いら立ちもありましたし、町政においても何度か危機に直面したこともありました。しかし、総じて言えば、多くの人の支えもあり、ついている人生模様だったと言えるかもしれません。
座右の銘ではないのですが、人生においては、常に「自分はついている」とポジティブに物事を考えることを心掛けています。時としてうまくいかない場合があったとしても、「災い転じて福となす」ということわざもあるので、次の成功に向けて、その試練を乗り越える術を探すようにしてきました。
おかげさまで、柴田町は順調に航行することができています。自分は「ついている、ついている」と暗示をかけていると、得てして向こうから幸運が舞い込んでくるから不思議です。
人生100年時代の下り坂を歩み始めると、人と人との別れの場面に出会う機会が多くなり、喪失感を抱き、生きる目標を見失いがちになります。
一方で、80才を越えた加山雄三さんも、私と同じ年の笑福亭鶴瓶さんも、現役でバリバリ活躍しています。私も今日を節目に、「柴田町を世界に拓かれた桜の名所にする」という、次なる目標に向かってチャレンジしたいと決意を新たにしています。
晩年の人生であっても、そこに新たな目標を見つければ、その日が新たな出発点になるのだと思います。
柴田町長 滝口 茂